竜介軍少佐のブログ

色々投稿しようと思ってるので時々見てね

竜介、ピザを食べる!

本土の秋も深まり冬の訪れが顕著になりだすこの日頃の北海道某所。
そんなある日、竜介は愛する母から与えられたなけなしの小遣いでピザを注文した。
彼の自宅付近にはピザ屋があり、かれこれ二十年は持ちこたえている。厳しい経済状況の我が国からしてみれば、れっきとした老舗といえるのではないだろうか。
竜介が少年の頃、ピザパーティーと称して大勢の仲間に振る舞うため、大量のピザを同店から買い求めたことが幾度かある。あれから店舗責任者が三度変わったが、現在の責任者ともウマが合うのは竜介とピザとの切っても切れぬ縁か、それとも彼のカリスマたりうる所以か。
今回の注文内容はトマトとバジル、それにスパイシーソーセージの具材が一枚で楽しめるメニュー。想像をするだけでおなかが鳴りそうなのに、電話で注文する時は唾液が分泌されて垂れそうだったのは竜介軍の面々には秘密である。
さて、ピザを受け取りに行くため、竜介はパンツ一丁の姿からジャケットにセーター、チノパンと着込み、ハロウィン以来久しぶりに自らの手で玄関を開けた。
目に入ってくる空の色は灰色で、思ったより風が冷たく感じる。竜介はジャケットではなくコートにすべきか少し迷ったが、どうせ直ぐ近くだから、とそのまま自宅を出た。
自宅を出て真っ直ぐ進むとそこそこの往来がある道路Aにぶつかり、そこを左折。少し歩くとかなりの往来がある道路Bの交差点にさしかかる。その左上角に目的のピザ屋がある。
狭い敷地には少年の頃の竜介ですらも窃盗してまで乗る気にはなれなかったダサい配達用バイクが三台駐車していて、それを脇目に見ながら入店する。
店内は暖房が効いて暖かく、カウンターには「いらっしゃいませ」と棒読みの男性店員と、注文待ち用のベンチの他に自動販売機がある。自然とコーヒーに目が行く。それもブラックだ。
「あ、電話で注文した竜介軍二等兵ですけど」
「はい、竜介軍二等兵様ですね…ってりゅーすけ!」
「え?あ、お前、まさかひろみか?ひろみGOか!?」
「どうしておれのバイト先にいるんだよー」
「いや、ピザ買いに来たんだけど」
「あ、それなら廃棄するピザもいる?たくさんあるんだー」
「マジか!!」
バイトが丁度終わりを迎えたひろみGOと竜介は合流し、二人だけでは食べきれない量のピザをひとまず竜介宅へと運ぶ。
「ここがりゅーすけのへやかぁー」
そう言ってひろみGOがくんくんと臭いを嗅ぐと、直ぐに嫌な臭いを感じ取る。自然に部屋の隅にある琥珀色の液体が詰まったペットボトルに目が行く。
……あれだな。
ひろみGOは本当は換気をしたいところだけれど、己の為に部屋の中を漂うアンモニア臭をあまり気にしないようにした。
一方、竜介は忙しく旧型のスマートフォンで電話をかけていた。
伍長、少佐は仕事中なのか繋がらず、ルメにはパワプロで手が離せない、と断れた。さとこは酒を持って来る、と言って来訪を約束してくれた。
「あ、もしもし。ななしんか?今から俺んちに来いよ。ひろみのお陰でピザを大量に入手できた」
『…ひろみ?』
「ああ、ひろみだよ」
『いや、二等兵さん、いつ出来たのか知らないけど、彼女と二人きりで過ごした方がいいと思うよ。俺はきっと邪魔になると思う』
「何言ってんだよ。だからひろみだって」
「え?もしかして、ひろみってひろみGOのこと?紛らわしいなー、もう!」
こうしてピザパーティーが、竜介宅で開かれる。
パーティーは盛り上がりを見せ、この時参加した竜介をはじめとするひろみGO、さとこ、ななしんの四人は、また別の機会を所望するほど楽しんだ。
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あなたも竜介軍に入ってみませんか?
(即興)